集合することが難しいご時世が続きましたが、最近では少しずつリアルな展示会やイベントが見受けられるようになりました。企業としては復活しつつあるリアルな展示会の開催で、顧客獲得や受注など一気にビジネスを加速させたいところですよね。しかし実際に展示会を開催することで、どの程度の効果が得られているか正確に知ることはなかなか難しいものです。
そこで今回は、展示会の効果測定の方法や効果をあげるためのポイントなどについてお話していきます。
展示会の効果測定の前に、展示会の目的を明確にしておく必要があります。展示会といえばひと昔前は「即商談!即受注!」を目指す、いささか前のめり感のあるイベントという印象がありました。しかし今では展示会に対する企業の考えも変わってきて、まずは企業名や商品名を覚えてもらうことを目指すという展示会もあります。このように、顧客の獲得が目的なのか、あるいはリードの獲得が目的なのかなど、展示会で目指すゴールをどこに置くかで効果測定の範囲が変わってきます。
そもそも、展示会の効果測定自体が難しいことも事実です。企業の営業活動は展示会だけに集約されるのではなく、日頃からの地道な営業活動やインターネットを活用した集客なども含め複合的に展開されています。例えば、展示会で獲得した受注の決め手となったのが、実はそれ以前のインターネット広告だったということや、展示会で名刺交換した人が、その後独自に情報収集し購買を決定するというようなこともあります。要するに、展示会という“その時間”だけを切り取っても効果の一部しか測定できないということです。
もし効果測定の精度を高めたいのであれば複数回の展示会を開催して数値の偏りをなくすことや、展示会前後の営業活動など他の戦略と組み合わせて測定していく必要があるのでしょう。
先ほど効果測定の前に展示会の目的を明らかにするべきだと伝えましたが、その目的から逆算して効果を測る指標を決めていきます。
展示会の目的がリードの獲得であれば、交換した名刺の数やノベルティの配布数、あるいはアンケートの回収数などが指標になります。
リードよりもさらに確度の高い顧客を獲得することが目的であれば、商談数が指標になります。商談といっても、質問を受けただけなのか、あるいは次回のアポを取り付けたのかなど、商談とみなす定義をはっきりさせておきましょう。
展示会の目的を受注とした場合は、受注数を指標にすればよいのでわかりやすいです。受注の件数で測るのか、あるいは金額で測るのかによっても数値が変わってきます。
獲得したリードや商談数、受注数から測る投資利益率も展示会の指標になります。
投資利益率、すなわちROI(Return on Investment)は広告投資における利益の割合のことです。投入した広告費用に対して得られた「利益」をパーセンテージで表します。計算方法は「広告経由の利益(展示会で得られた総利益)÷広告費(展示会にかけた費用)×100」となります。
展示会にかけた費用をリード数や商談数で割ると、それぞれの投資利益率を測ることができます。
獲得した顧客のライフタイムバリューも展示会の指標になります。
タフタイムバリュー、すなわちLTV(Lifetime Value:顧客生涯価値)とは、顧客から生涯にわたって得られる利益のことです。展示会で獲得した顧客が、その後長期的な付き合いになり、コンスタントに取引を交わす関係になればライフタイムバリューは高くなりますし、逆に1回限りの取引で終わってしまえばライフタイムバリューは低くなります。
展示会の効果は費用対効果で算出することもできます。
費用対効果とは「かけた費用に対しての効果」のことですが、具体的には投入した広告費に対して得られた「売上」をパーセンテージで表した指標であるROAS(Return On Advertising Spend)や、展示会への出展料やブース製作費、販促物の制作費、会期中の人件費などの広告も含めた投資額全体に対して得られた「利益を」パーセンテージで表した指標である
投資対効果(ROI)として算出することができます。
複数の展示会を開催し、展示会ごとに効果測定をすることによって展示会の改善点が見えてきます。効果が高かった展示会と効果が低かった展示会を比較し、それぞれの違いを洗い出すことで、効果の高い展示会のノウハウが蓄積されていきます。
継続的に展示会を開催することで、展示会の効果を高めていくことができます。展示会の効果測定を都度行い、反省点や改善点などを洗い出し、次回以降の展示会の戦略を練る際に反映させましょう。
展示会の効果測定を行うタイミングは、商材や目的によって異なります。設備や機械など一度の納品で大きな利益が出る商材と、システムなど長期的な使用によってコンスタントに月々利益が発生する商材とでは、効果測定のタイミングや方法を同じにすることが難しく、また、リードの獲得を目的とするのか、あるいは受注を目的とするかによっても効果測定するタイミングが変わってきます。
効果測定は段階を追って複数回行うことで測定の精度が上がります。1ヶ月後、3ヶ月後、あるいは半年後に展示会の効果があらわれることもあるので、1回の測定結果だけで判断せず、長期に渡って測定しましょう。
出展の目的を今一度明確にすることで、展示会の高い効果が得られます。さらに、目的に合わせてターゲットを絞ったり具体的な数値目標を立てたりすることによっても、展示会の効果が高くなるでしょう。
展示会当日の会場におけるリアルな集客だけではなく、展示会前から計画的に集客を行うことも大事です。プレスリリースの配信、コーポレートサイトでの告知、メルマガやDMなどの配布などで広く集客し、当日の来場者を確保しておきましょう。
展示会の目的によってターゲットを選定し、さらにターゲットに合わせた商材やサービスに特化した展示会を企画するという方法もあります。よりターゲットに刺さるコンテンツを提供することによって、高い展示会効果が得られます。
展示会で獲得したリードや商談に対する継続的なフォローアップも必要です。名刺交換をしたのであれば期間を空けずにコンタクトをとって営業の約束を取り付けたり、少しでも商談が進行したのであればより具体的なプランを提示するためにプレゼンテーションの機会を設けたりと、潜在顧客に対する手厚いフォローアップによって、展示会の効果が定着していきます。
展示会自体の質を高めることも大事です。展示会のブースのデザイン、スムーズな動線、スタッフの対応など、質を追求できる要素はいくつもあります。展示会のコンテンツと同様に、企業のイメージを決定づける重要な部分なので、周辺的なこともしっかりと対策しましょう。
展示会は一種のイベントなので多くの時間と労力を必要とします。入念な準備をすることも大事ですが、展示会当日は日常業務とは違った様々な想定外のことが発生するものです。時には既存社員だけでは対応できないようなことも起こり得るので、展示会やイベントに精通した専門スタッフがその場にいると安心です。
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2022.12.14
Category: コラム